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序章1 過ち2/2-1
前紀地球暦2050年以降、決着が見えない戦争の先行きに、指揮命令系統が及ばなくなった局地戦に於いて、どちらの陣営も無秩序に核兵器及び細菌兵器を使用し始めた。
そのため、放射性物質や細菌によって地球上の80%が汚染され、人類を含めて60%超の地球上生物が死滅或いは絶滅した。
放射性物質や細菌から逃れるため、両陣営政府とその国民達は地下基地に潜った。
その頃、地下基地は戦略の一環として各国政府によって積極的に建造されていたが、国民全てが移住できるような地下都市はまだできていなかった。
国民達は争う様にして地下基地になだれ込んで避難したが、収容人員が限られていたため多くの国民が地上に締め出された。
地下基地に入れなかった者たちは、しばらくは地上を放浪していたが、次第に放射能と細菌に全身が蝕まれ死んでいった。
一方、地下基地では、通路や建物内には民衆があふれ返った。避難が長期化してくると配給食料も少なくなり、民衆の一部が暴徒化して殺人・強盗等治安の悪化が深刻になってきた。
両陣営政府は、尚も戦争を継続させるため、人工食料の開発、地下工場における兵器の製造と地下都市の造成、インフラ整備を進めていった。
そして、地下都市の治安を維持するため全域に戒厳令を出して大規模な民衆の粛清を始めた。
殺人強盗等の犯罪者や現体制に批判的な者たちまで即決裁判で有罪にされ、放射能や細菌で汚染された地上へ送り返された。
そしてそれは次第に一般民衆にも向けられ、病人や老人達、密告によって犯罪をでっち上げられた者も即決裁判で地上に送られていった。
HEBEREKE国 首都 atsugi simokawairi 地下都市
民衆たちは、現政権が提供している不自由で抑圧された地下での暮らしに対してだんだん不満と憤りが積もっていき、次第に地上に戻ることを願い始めた。
両陣営とも次第に、地上に戻りたいと願う国民達の意志を無視することはできず、地上や海水の除染研究を積極的に行っていったが決定的な解決策は見い出せず、実際の除染作業となると、未だ戦争が継続されている状態では無意味と言わざるを得なかった。
両陣営政府は、汚染された地上よりも宇宙に活路を求める決断をした。
戦争前から世界的協力レベルで両陣営が研究開発実験を繰り返し行っていた宇宙ステーションでの食物栽培・居住空間の建設を国家プロジェクトとして推進した。
しかしそれはまだ現状を変化させる段階には至っていなかった。
現状を打破する方策として、人々の関心はバイオテクノロジーに向けられていった。
生物の遺伝子組み換え・細胞融合などの技術を利用しての品種改良を行い、汚染された地上でも、宇宙の過酷な他惑星環境でも育成できる作物の開発を推進させた。
そしてそれは、次第に動物や人類への体組織改造・他環境適用を推進する方向にシフトしていった。